フラグラントガーデン “香る庭” no.3

  • HOME
  • フラグラントガーデン “香る庭” no.3

7、芳香性の植物(6)

リキュウバイ(利休梅)(別名: バイカシモツケ、ウメザキウツギ)

中国北中部が原産地のバラ科の落葉樹で、3~4m位に成長する。4~5月頃の芽吹きと同時ぐらいに、花径4cm程の純白の一重花が、素敵な香りを乗せて、枝いっぱいに咲きます。新緑の若葉色と、純白の花との組み合わせが、春の柔らかい日差しの中に、とても美しい。何となく控え目で、おとなしい感じの花木で、他に類を見ない。洋風庭園にも良く似合い、お奨めの花木です。
寒さには強いが、夏の暑さは少々苦手なので、夏の午後は明るい日陰になるぐらいの場所が適している。水はけの良い湿潤な土壌を好み、乾燥地は苦手です。植栽時には、腐葉土や堆肥を加え、フカフカの土にして保水力の高くして植え付けよう。

シキミ(樒、別名: イリシウム)

シキミは枝や葉に芳香のある常緑の樹木で、3月から4月に直径2.5~3cmの萼と花弁が10~20枚の花をつけます。日陰でも良く育ち、花も咲く。熟した果実は星のような形をしており、中華料理に良く用いられる「八角」という果実とそっくりですが、果実だけではなく全木に毒をもっている有毒植物です。特に果実の毒性が強く「悪しき実」が転じてシキミと言う名前になったとも言われています。樹皮や葉は乾燥させて粉にして抹香として用いられます。その他枝葉は仏壇に添えられたり、葉が末期の水をとるのに用いられたり、仏事と関連の深い樹木です。
3~4月に咲く花は、一般的には乳白色、淡黄白色だが、イリシウム。ヘンリーは赤花を咲かせる。寒さにはあまり強くないが、日陰に強く、日陰でも花が咲く常緑樹として利用価値は大きい。

うめ(梅)

江戸時代以降、花見といえばもっぱらサクラの花を見ることとされている。しかし奈良時代以前に「花」といえば、むしろウメを指すことの方が多かった。“東風(こち)吹かば匂(にほ)ひおこせよ梅の花主(あるじ)なしとて春を忘るな”は、平安時代の貴族・菅原道真は、平安京朝廷内での藤原時平との政争に敗れて遠く大宰府へ左遷されることとなった延喜元年、屋敷内の庭木のうち日頃からとりわけ愛でてきた梅の木・桜の木・松の木との別れを惜しんだ。そのときに梅の木について詠んだ歌である。
また、ある時、宮殿の前の梅が枯れてしまった。そのときの天皇、村上天皇はこれを残念に思い、かわりの木を探させていたが、ある屋敷で良い梅の木を見つけて、それを勅命で宮殿に献上させた。そしてその木を植えてみたところ、屋敷の女主人の書いた歌が紙で結びつけてあり、“勅なれば いともかしこし 鶯(うぐいす)の 宿はと問(と)はば いかがこたえむ” とあった。歌の心を知る天皇は、すぐにこの梅の木を元の屋敷に返したという。鶯宿梅の故事といい、いかに愛されていた花木であるかが良く表らされている。取り合わせの良いものの例えに、“梅に鶯”“紅葉に鹿”“獅子に牡丹”などとも言われている。
いろいろな園芸種があるが、とてもよい香りの5弁花で、梅の花の香りを馥郁(ふくいく)たると表現するが、梅の香りにしか使われないように、特別な扱い方をされているような気がする。
ところで、梅と桜と桃と杏の花を、どうやって見分けていますか?
花びらの先端が丸くて、花柄が無いのが梅です。枝に直接花がついているように見えます。花びらの先端が割れていて花柄が長いのが桜です。花びらの先端が尖っていて、花柄が短いのが桃です。また、梅は1節に1花ですが、桃は1節に2個の花をつけるので、より豪華に見えます。さらに、杏というには、梅と近縁種ですので、見分けが難しいのですが、花の付け根を見てください。萼が花を支えるように付いているのが梅で、萼が反り返って付いているのが杏です。ややこしいですか?

あんず(杏)

バラ科の植物で、高さ3メートルから9メートルまで成長する木に実をつけます。
実の形は梅に似ていますが、サイズは梅よりも大きく、熟すると黄色くなり、甘酸っぱくなります。実の形だけではなく、樹木も梅の木そっくりです。収穫時期は6月下旬から7月で、生食用の果実もありますが日持ちしないので、あまり多くは流通しません。一般的には、ジャムなどの加工品にすることが多いです。アンズは4月中旬になると、淡紅色のふっくらした花がいっせいに咲き、その美しさは果樹の中でも抜群です。アンズの花は春になると、緑の葉よりも早く美しい淡紅色に花を咲かせます。花には一重と八重がありますが、黄橙色の実とともに美しく映えます。
国内では長野県、青森県、福島県、広島県、熊本県、群馬県などで栽培されています。
アンズは1本で結実しますが、他の品種のアンズの木や梅、すももやプルーンの木を混植すると相互に結実が安定します。1本植えておくと便利な木です。

もも(桃)

モモは、マイナス15℃の低温にも耐えるほど寒さに強く、庭植えで美味しい果実を生産するには、東北地方南部が適地とされています。また、日当たりと水はけの良い場所が適します。モモは、特に加湿に弱いので、湿地は避けることが懸命です。神奈川県では、花を楽しむための‘花もも’が品種改良され‘照手姫’と名づけられています。開花期は4月。樹高は3~5m。狭い場所でも植えられる箒性で、枝立ちもよく、横に広がらずに、細く上に伸びていきます。花は八重咲きの大輪で、花つきもよく、春には枝いっぱいの花を咲かせ、庭木としてお奨めです。花色も、気品のある淡桃色です。名前の由来は、神奈川に古くから伝わる‘照手姫伝説’によるもので、照手姫は、縁結びの神様だそうです。

カツラ

カツラ科はカツラ属の雌雄異株の落葉樹です。樹高30m以上にもなる高木で、葉は愛らしいハート形をしています。雌株、雄株ともに花弁のない花は、春に葉が出る前に紅い糸状の花を咲かせます。紅い糸状の部分は雄しべ、または雌しべで、花びらもガクもなく、かなり地味めです。淡いグリーンの葉色は爽やかで整った自然樹形が美しく、秋になると葉は一斉に黄色く色づきます。黄変した葉は美しく、甘いカラメルのような香りがあり、紅葉期に樹のそばを通るとふわりとその香りを感じることができます。この芳香成分は、マルトールによるもので、メープルシロップを焦がして香ばしくしたかのようだ。秋の、少しずつ冷えてきた空気の中にほんのり香りが漂う。キャラメルのような匂いとも表現される。秋、黄色く紅葉した葉も綺麗だが、カツラの葉の香りを堪能するなら、落葉した後に一雨降ったら、雨上がりに出かけてみよう。黄色い絨毯からは甘い香りが漂う。
仲間には、枝が下に垂れ下がるシダレカツラがあります。また、園芸品種に新葉が紅紫色になるレッド・フォックスがあります。

ホウショウ(芳樟)

台湾、中国原産のクスノキ科・ニッケイ属の常緑高木。樹高は15~20mになる。深緑の葉が爽やかに香り、クスノキと同じようにショウノウ(樟脳)が取れるが、芳香物質のリナロールが多く、香料原料として価値が高い。乾燥してポプリに使ったり、タンスに入れて防虫に使う。

ゲッケイジュ(月桂樹、ベイ、ローリエ、ローレル)

カレーやシチューに入れて香りづけとして使うことで知られるゲッケイジュは、地中海沿岸原産のクスノキ科の常緑高木です。温暖・湿潤な気候を好む樹木で、葉は先がとがった楕円形をしていて、香りがあります。収穫する葉は、若葉ではなくて半年以上、1~2年ぐらいの葉を水洗いして乾燥させてから使います。また古代ギリシャではゲッケイジュの葉で作った冠で英雄を称えたところから、現在でもスポーツ界では、月桂樹の冠が頭上を飾ります。

オリーブ モクセイ科Olea europaea L.

モクセイ科オリーブ属の常緑樹で、地中海地方、西アジア、北アフリカ地方が原産地です。比較的乾燥にも強い性質のためイタリアやスペイン、ギリシャ、トルコといった地域で多く栽培されています。日本では、明治以降に本格的な栽培が始まり、香川県小豆島の特産品にもなっています。
オリーブは「平和の象徴」とか「幸福を呼ぶ」などと言われますが、これは旧約聖書に由来します。またギリシャ神話では、オリーブの木は知恵の女神アテネによって作られたとされ、古代オリンピックの勝者に与えられる冠がオリーブで作られているのも、この女神アテネにまつわる神話からです。
オリーブは銀葉が美しく、6月頃、白い花を咲かせ、10月下旬~11月中旬に果実を収穫します。果実は苦くて生食はできませんが、塩漬けやいわゆるバージンオイルを楽しむことができます。コレステロール値を下げる働きのあるオレイン酸を多く含み、 老化防止となるポリフェノールやビタミンEなどの栄養成分も含んでいます。また実だけでなくオリーブの葉にもポリフェノールの一種オレウロペインや、カルシウム、鉄分などの成分が含まれているので、オリーブの葉を使った「オリーブティー」もハーブティーのひとつとして楽しまれています。
芝生の広い、洋風の庭に合います。木は乾燥に強く、また樹勢が強く大木になります。一般的な木の根は、根元から地下深くに向かって根が伸びて行くのに対して、オリーブの木の根は、浅根性(せんこんせい)といい、地面の直ぐ下へ20センチくらいのところを横へ伸びていきます。そのため、程良い広さがないと根づまりを起こして突然死することもあると言います。植え付けの際は、充分な広さを確保してあげましょう。

ハクウンボク エゴノキ科Styrax obassia

5月~6月ごろに良い香りのする白くて美しい花を咲かせる。花はエゴノキに似ていますが、花が房状に垂れ下がって開花の様子が白い雲のように見える。ほとんど日本全国に植栽可能な落葉樹で、エゴノキ科・エゴノキ属に分類され、樹高は15mほどになる。白い小さな花が鈴なりに咲いている姿が、空にたなびく白い雲のようで、香りとともに見事だ。
葉は、エゴノキに比べて大きく広楕円形で、裏面は灰白色の細毛があります。

柑橘類

オレンジ、レモン、グレープフルーツ、ライム、マンダリン、ベルガモット、ユズ、カボス、スダチ、カラタチ、キンカン、シークァーサー、etc。
カラタチなどの一部を除けば、ほとんどが常緑で、トゲを持つものが多い。葉にも芳香を持つものが多く、蝶類の幼虫の食害にあい易い。柑橘類の香料には、シトラールやリモネンなどが含まれ、共通したさや甘酸っぱさがあり、日本の人はかんきつ類の匂いの違いに敏感なようだ。この爽やかな香りには、眠気を覚まし、頭をスッキリさせる覚醒効果や、ストレスにより減少した抗体を回復させ、免疫力をアップする効果があります。また、睡眠中に失われるグリコーゲンや、脳のエネルギー源となる糖分の補充にも適しており、朝食でみかんを食べるのは1日のスタートとしては非常に良いといえます。
‘レモン’は、花よりも新芽の方がレモンの匂いを強く感じる。新梢の先に花が咲き実が成りますので、切り戻し剪定は避けましょう。
‘ユズ’は、柑橘類の中では寒さに強く、枝には鋭い棘がある。葉柄には幅広い翼がある。白い5弁の花は5月頃に開く。果実の表面は凸凹がめだち、強い香りがある。
‘オレンジフラワー(ビターオレンジ、ダイダイ、オレンジブロッサム、ネロリ、)’は、日本名を橙(ダイダイ)のことで、4~5mほどの高さに生長し、春から初夏にかけて優美な香りの白い花を咲かせ、花の後には苦味の強い実をつけます。ヨーロッパではオレンジフラワーは純潔を意味し、繁栄と多産の象徴とされてきました。オレンジフラワーの精油はネロリと呼ばれますが、これは17世紀にイタリア・ネーロラの公妃がオレンジフラワーの精油を愛用していたことに由来すると言われています。
‘ポメロ’は、柑橘類の中で最もゴージャスな花。純白でしっとりした5弁の花には、甘味なまでの芳香がある。春、ザボンとグレープフルーツを掛け合わせたような直径15cmの果実が、枝から房状に下がる。上品な風味と程よい酸味がすばらしく、厚めの皮で作ったマーマレードも美味。
馴染みはあまり無いが、‘シルクジャスミン(ゲッツキ・月橘)’は、別名: オレンジジャスミン。主に夏(気温があればあまり季節関係なく)直径2cmほどの芳香を持つ純白花を枝先にたくさん咲かせます。果実は食用に。葉も美しい。霜には注意。路地植え最低温度0℃。
‘ベルガモット’は、イタリア原産で、ダイダイとマンダリンオレンジの交雑種であると推定され、樹高は2~5m程度になり、葉は他の柑橘類と同じように表面に光沢があり、他の柑橘類よりもやや細長い形をしており先がとがっている。夏に芳香のある5枚の花びらを持つ白い花を咲かせる。果実はヘタの部分が出っ張った洋ナシ形かあるいはほぼ球形をしており少しデコボコしている。
果肉から油を採り、フレッシュな香りをもつためオーデコロンを中心に香水にもしばしば使用される。紅茶のアールグレイの香りづけに使う。
比較的暑さには強いが寒さに弱く、栽培には気温が氷点下にならないことが必要とされる。
‘ボロニア’は、オーストラリア原産の半耐寒性常緑低木で、草丈は0.5~3mとなる。
柑橘系のさわやかな香りのする可愛いらしい花姿とその香りで、ボロニアはオーストラリアの代表的な花木で、鉢花として大変、人気があります。
温暖で乾燥気味の気候を好みます。蒸れるのを一番嫌いますので、風通しには十分に注意しましょう。花形にベル形と星形があります。ベル形の代表種はヘテロフィラと芳香性のメガスティマ。星形の代表種はピナータ、フラセリー、クレヌラタなど。
‘サザンクロス’は、別名: クロウエア。オーストラリア南部原産で、30~70cmに育つ常緑性の低木です。5~11月に、白、ピンク色のかわいらしい星形の花を咲かせます。園芸種のエクサラタは、繊細な細い葉と、やや小さめではっきりした星型の花を咲かせます。サリグナは、エクサラタに比べてやや広めの小さい葉と、厚みがある星型の花を咲かせます。ホワイト・スターは、矮性品種で数少ない純白花だが、開花期間が短い。
耐寒性はあるが、霜や寒風に気をつけ、夏は直射日光を避ける。過湿に弱いので、水のやり過ぎに気をつける。
‘サンショウ’は、アゲハ蝶を呼ぶ木として、また、果実や葉を和風の香辛料として、あまりにもよく知られているサンショウは、ミカン科の落葉低木です。トゲがあり、清涼感のある辛みと芳香があります。英名は、ジャパニーズペッパー。一般的なサンショウは雌雄異株ですので、実を利用する場合には雌雄同種の、‘実サンショウ’という種類を育てましょう。春に新しい芽を摘み採って使います。青い果実は7月くらい。熟した果実は9月くらいに採取できます。食用に利用する場合、アゲハチョウの幼虫が付いたら、割り箸か火鋏のようなもので、見つけ次第捕ってしまいましょう。ちょっと勇気が必要ですが、油断すると、丸坊主にされてしまうこともあります。
日当たりの良い場所か、半日陰の場所に植えつけます。適湿の土壌を好み、極端に地面が乾燥する強い西日の当たるような場所は避けましょう。一株あるととても便利です。
葉や果実を収穫した後は、お礼の肥料もお忘れなく。
‘ルー(ヘンルーダ)’
南ヨーロッパの地中海沿岸に分布し、乾燥地に自生している山椒の仲間のハーブです。茎は群がるように何本も生えてきて、高さ50~100cmになります。葉の形はへら形で、花は花弁に鋸歯のある黄色で6~7月に咲く。ルーの葉は独特の山椒に似た匂いが強く、乾燥させると強力な除虫効果があります。また、家屋へのアリの侵入を防ぐ効果もあります。「猫寄らず草」としても知られています。
昔は食用や薬用として利用されていましたが、毒性があるとの指摘もあり、現在は利用されていません。葉茎の汁は、皮膚炎を起こすことがあるので注意してください。

8、芳香性の植物(7)

ローズマリー

花のみならず、葉や茎にも森の香りがあるローズマリー。葉の流れに沿って、そっと触れてみたくなる。あふれる程の清々しい香りは、私達を元気にしてくれる。地中海沿岸を原産地とするシソ科の常緑低木で、小さい花が満開となるのは秋から春にかけて。花色は紫色、青色、桃色、白色など、品種による。樹形も、成長すると1m~2mになる立性の種類と、高さは30cm~60cmぐらいで這うように広がる匍匐性(ホフクセイ)の種類、中間の半匍匐性のものがある。花はそのまま料理やスイーツの飾りとして、葉は魚や肉、ジャガイモ料理などの風味づけとして、さらに酸化防止効果があるので魚や肉の保存にも使われています。ハーブティーとしても、入浴剤として、精油を採り美容やアロマセラピーに、ポプリとして、新鮮な葉でリースを作るなど、暮らしに役立つハーブの代表格だ。
日当たりと水はけの良い場所に、出来れば何時でもさっと触れる場所に、必ず欲しいハーブのひとつだ。

セージ(サルビア)

古代ローマ時代から薬用として利用されていたシソ科の常緑低木で、飲用、香味料、薬用、香料、ポプリなど、利用法も多い。‘癒しの草’として‘ヒーリングプランツ’の名も持つ。花は5月~7月頃、花色や香りは品種によって様々です。
‘コモンセージ’は、サルビアの代表。一株植えておけばたくさんの枝を広げ、夏には紫色の花を穂状に咲かせます。ミツバチも大好き。サラダに散らしても美しい。白花種(‘アルバ’)もある。
‘ラベンダーセージ’は、ラベンダーに似た濃紫の花穂は大きくて見事。草丈: 100~150cm。丈夫で育てやすい。
‘パイナップルセージ’は、草丈: 60~100cm。赤花。パイナップルに似た香りがある。秋に鮮やかなスカーレット色の花が美しい半耐寒性のハーブ。葉に触れただけでパイナップルの香りがする。
‘サルビア・クリーブランディ’は、銀緑色の細い葉と輪状に咲くパープルの花に甘酸っぱい芳香がある。6~8月に開花。
‘チェリーセージ’は、別名: サルビア・グレッギー。葉に果物の香りがあり、春から秋まで開花期間が長い。半耐寒性。赤花。白花。
‘クラリーセージ’は、草丈: 60~100cm。大きな花穂と葉をもち、花壇でも目立つ存在です。花にはピンクの苞葉を持つ淡い色です。
‘メキシカンブッシュセージ’は、草丈: 60~150cm。サルビア・レウカンサとも呼ばれる。ビロード状の紫色の花と、濃緑色の葉が美しく、園芸用として人気があります。
‘ディスコロールセージ’は、草丈: 60~100cm。香りは淡く、葉の裏が白く、緑白色のガク片と黒い花をつけるので、観賞用に人気がある。
葉を収穫するには、花が咲き始める頃の朝が良い。観賞用としても人気が高く、一株植えてあると、心が弾むように元気がでる。

タイム

地中海西部沿岸を原産地とするシソ科の常緑低木。葉に強い芳香があり、スープ、シチュウ、マリネ、魚・肉料理に、ハーブティーとしても、入浴剤として、精油を採り美容やアロマセラピーに、ポプリなどとして、使われている。樹形は、立性のタイプと匍匐性のものがある。葉や花の色も品種により様々。
‘コモンタイム’(立性)は、高さ20~40cmぐらいで、よく枝分かれした茎は木質化し、枝先に短い穂をつけ、夏になると淡いピンクの花を密に咲かせます。ミツバチを呼びます。
‘レモンタイム’(立性)は、高さ25~30cm、葉は艶のある緑色でレモンの香りがします。夏、枝分かれした茎の先に、淡い桃色の花をたくさんつけます。美味しいお茶になり、料理、浴剤、クラフトなど。
‘ラベンダータイム’(立性)は、高さ10~20cm、細くてやや肉厚の葉は深い緑色で、ほのかなラベンダーの香りがします。茎は少し横に伸びていくようにして、先のほうに優しいピンク色の花を咲かせます。
‘ゴールデンクィーンタイム’(立性)は、高さ20~30cm、葉の縁に黄色の斑が入り、優しいレモンの香りがします。夏になると、茎の先に淡ピンクの花を咲かせます。
‘クリーピングタイム’(匍匐性)は、高さ10cmぐらい。高さは10cm位。優れた薬効を持ち、‘マザータイム’の名を持つ。赤花と白花の種があり、夏中、株を覆うように花が咲きます。横に這うように広がり、芳香のある葉は、秋にはブロンズ色に変わります。
‘キャラウェイタイム’(匍匐性)は、クリーピングタイムよりもやや細い葉で、キャラウェイのような香りがします。夏、枝先にピンク色の花をつけます。香りの絨毯のように広がリ、グランドカバーに適しています。
‘アニーホール’(匍匐性)は、明るい緑色の葉、夏には淡いピンク色の花を咲かせます。触ってみるととても優しい、レンゲに似た甘い香りがします。知らない間に広がってくれる、頼もしいグランドカバー。
‘イブキジャコウソウ’(匍匐性)は、日本に自生する日本の‘タイム’として有名だ。
花色は淡いピンクで、株には芳香があり触れるとかなり強く香ります。姿の似ているクリーピングタイムに比べ強健なのでグランドカバーに適しています。
タイムは、日当たりと水はけが良く、湿気の少ない場所を好むので、風通しの良い場所を好みます。花壇の中に、是非加えてあげてください。

ミント

清涼感の芳香があるシソ科・ハッカ属の多年草。鎮静、防腐、解熱などの効果を持ち、料理やお菓子やお酒の香味つけ、香料、入浴剤、ハーブティー、美容やアロマセラピー、ポプリなどに利用されるポピュラーなハーブ。立性のタイプと匍匐性のものがある。葉の色は品種により様々。
‘スペアミント’(オランダハッカ)は、草丈: 60~100cm。スペアミントのスペアはspear(槍)を意味し、花穂の形や葉のとがり方に、その特徴が表れています。甘さと、爽やかな清涼感が溢れる香りがします。お菓子やデザートに用いられる香りです。古代ギリシャでは浴槽に入れて沐浴したり、中世には口臭や歯を白くするケアに使われペパーミントより歴史の古いハーブです。花は茎頂に淡藤色の穂状花状を咲かせます。生のままでもドライにしてもハーブティーやドリンクによく利用され、美味しくいただくことができます。
‘ペパーミント’(セイヨウハッカ)は、草丈: 30~90cm。ペパーミント系は香りが強く、メントールの含有量も多い。お馴染みの強い爽快感ある香りのメンソール系の代表です。刺激の強い香りは、頭と心をはっきりとさせる作用があり、集中力を高めたい時、神経を鎮めたい時、眠気覚ましなどに役立ちます。チューインガム、歯磨き粉などに使われる香りです。
‘アップルミント’は、草丈: 60~100cm。全草に綿毛があり、葉は丸みを帯びています。リンゴのような甘い香りを持ち、ハーブティーに適しています。フレッシュでもドライでも。ホットでもアイスでも。
‘パイナップルミント’は、草丈: 10~50cm。葉にクリーム色の斑が入り美しいので、観賞用としても利用される。
‘ペニーロイヤルミント’は、草丈: 10~40cm。地面を這うように広がって育つ。花は切花、ドライフラワー、リースなどに。

バジル(バジリコ)

シソ科・メボウキ属の一年草のバジルは、イタリアではバジリコと呼ばれ、トマト料理などとの相性が良い。葉には、グローブ(丁子)に似た強い香りがあり、食欲増進につながる。日本には江戸時代に中国から薬草として導入された。暑さに強く、料理に幅広く使用できるので、日本でも人気のハーブのひとつです。
‘スイートバジル’は、草丈: 50~80cm。大きな凹凸のある葉が特徴で、バジルの中では最も一般的なバジルの代表。甘味のある強い香りがあり、白い花が夏に咲く。
‘レモンバジル’は、草丈: 30~50cm。葉はやや小型で柔らかく、レモンの香りをもつ。白花の花が咲き、ポプリや入浴剤の他、花壇の観賞用にも。
‘リコリスバジル’は、花はピンク。葉はしばしば紫色を帯びる。フルーティな香りで、サラダや肉料理、スープなどに。‘シナモンバジル’は、草丈: 60cmほど。茎葉にシナモン(ニッケイ)に似た芳香がある。茎、ガク、花軸は濃紫色。花は淡紫色を帯びる。サラダ料理などに。
‘ブッシュバジル’は、草丈: 30cmほど。スイートバジルの変種で、香りや花色はスイートバジルに似る。別名グリーンバジル。葉は長さ2~3cm程。こんもりとブッシュ状に育つ。
日当たりと水はけの良い場所を好みます。春から秋にかけてよく成長しますが、梅雨以降の高温多湿で蒸れるのは苦手。収穫を兼ねて、枝をすかすように刈り込んでやる。花穂も早めに摘み取ると、長期間にわたって収穫を楽しめる。実用を兼ねて、鉢植えでも如何でしょう?

ニオイゼラニウム(センテッドゼラニウム)

フウロソウ科・ペラルゴニウム属の中で、香りが良く、香料や香辛料として利用されるものを、‘ニオイゼラニウム(センテッドゼラニウム)’として区別し、花を観賞する園芸種を単に‘ゼラニウム’と呼んで区別しています。葉にゼラニウムオイルと呼ばれる精油成分を含み、強い芳香がある。化粧品などの香料とされる他、食品用の香料やポプリなどにも利用されている。半低木として扱われる。
‘ローズゼラニウム’は、草丈: 30~100cm。ニオイゼラニウムの代表的な品種で、薔薇の香りがする。4~10月に咲くピンク色の美しい花は、お菓子や飲み物にもなる。葉から採れる精油は香料として化粧品などに。葉を一枚カップに入れて湯を注げば、香りの良いローズウォーターとなる。
‘アップルゼラニウム’は、草丈: 20~40cm。リンゴに似た甘い香りを持つ。春に白くて小さな花を咲かせ、デザートの彩りに使う。葉は小さめで、株は這うように伸びる。魚の臭い消しとしても使われる。
‘レモンゼラニウム’は、草丈: 30~100cm。フリル状に縮れた葉がレモンの香りを持つ。春にピンク色の花を咲かせる。香りの良い種類の元となっている種類です。変種で、
葉の周囲に白黄色の覆輪斑が美しいバリエガータは観賞価値が高い。
‘プリンスオブオレンジ’は、柑橘系の香りを持ち、花はピンク。株はコンパクトにまとまり、非常に花つきが良い。株全体が花で覆われるほどだ。
‘チョコレートミント’は、ベルエット状の葉の中心にチョコレート色の斑が入り、ペパーミントの香りがします。夏、小さな優しいピンク色の花を咲かせます。
他にも、ナツメグ、ジンジャー、ココナッツ、ヘーゼルナッツ、パイナップル、シナモン、などの香りを持つ種類が多数ある。南アフリカ原産ですが、意外と丈夫です。日当たりと水はけの良い肥大な土の場所を好む。乾燥には意外と強いが、高温多湿は苦手。寒さには意外と強く、関東以西の暖地では、戸外での冬越しも可能だ。花壇でも、鉢植えでも、花も綺麗ですので、色々な香りを楽しんでみては如何でしょう。

ラベンダー

ラベンダーは鮮やかな紫色と心地よい香りが魅力で、「ハーブの女王」と呼ばれて愛されています。木本性ですが、草花として扱われることが多く、花壇の植え込みやコンテナ栽培などで楽しまれています。北海道富良野のラベンダー畑の写真は目に焼き付いています。
ハーブを楽しむ人たちにとっては最も人気のあるもののひとつです。ラベンダーの自生地は地中海沿岸地方の平地から高地までと範囲が広く、ドライフラワーやポプリ、ハーブクラフトを始め、医療、料理、香料、美容と幅広く利用されています。精神を安定させる効果があることも多くの人に知られています。
ラベンダーはシソ科の多年草で、耐寒性のあるものとないものがあります。花の美しさと香りのよさでいえば、イングリッシュラベンダー(コモンラベンダー)が随一です。北海道の大地に紫色に広がる風景として有名になったため日本では観賞用としても楽しまれている富良野ラベンダーはイングリッシュ系ラベンダーの代表品種です。しかし、北海道のような寒さには強い反面、高温多湿に弱く、暖地での夏越しは難しいラベンダーです。関東以西の暖地では、ラバンディン系のようにある程度耐暑性の強い品種を選ぶのも大切です。コモンラベンダーとスパイクラベンダーの交雑種をラバンディンと呼びますが、この系統は比較的暑さに強い性質をもち、花も香りも優れているので、暖地で楽しむにはお奨めです。フレンチ・ラベンダーなどストエカス系のラベンダーは平地の季候でもよく育ち大株に育ちものが多く、花壇にも適しています。他に、薄紫色の苞がリボンのように目立つフレンチラベンダー(ストエカスラベンダー)や、暖地であれば冬も開花する四季咲き性のデンタータラベンダーなどもあります。耐寒性、耐暑性は、系統によって大きく異なるので、育てる環境によって品種を選びましょう。
ラベンダーは、アロマテラピーにおいて最も頻繁に使われるエッセンシャルオイルで、その精油成分には肌の細胞を活性化させる働きがあると同時に鎮静作用があるので、緊張やストレス、不安感を和らげ、気分をゆったりと落ち着かせてさせてくれます。また、他の精油は薄めなければ使えませんが、ラベンダーは直接肌につけても大丈夫でハーブバスやピローなどにも積極的に使われています。また軽いヤケドや虫さされなどにも利用されます。
暑さにも強いといわれている、香りの良いラベンダーを幾つかご紹介します。
‘ラベンダービリディス(イエローラベンダー)は、草丈は40~80cmで、花は黄白色です。緑色がかった葉は幅が広く大きく穂状花序につきます。ラベンダーらしくない花色が面白い。全草の香りが強いです。
‘スイートラベンダー’は、草丈は50~80cmです。四季咲き性で、パープルの花は甘い香りがします。耐暑性に優れ、香りの良い青紫色の花です。花茎、花穂ともに長く伸びる種類(品種)です。
‘スパイクラベンダー’は、耐暑性があり、全草が直立した線形のスタイルです。幅広い灰緑色の葉が特徴的です。香りの高い紫色の穂状花をつけます。
‘ラベンダードームブルー’は、草丈は40~60cmです。真正ラベンダー(コモンラベンダー)の美しさ、香りの良さに加えて、暑さに強い品種です。関東以西の夏に暑い地方でも地植えが可能になりました。2年目からはドーム型に花を咲かせるので、この名前がついています。初夏から晩秋までに、3回花を咲かせることも可能です。
‘ラベンダーマリアンブルー’は、シソ科の多年草です。草丈は30~80cmです。30℃以上の暑さでも強い!ラベンダーの救世主です。特に耐暑性に優れた種類(品種)です。花は5月から夏まで次々に咲き続けます。 ‘ラベンダーグロッソ’は、イングリッシュ系ラベンダーの交配種で、高温多湿の気候の栽培にも比較的よく耐えます。草丈は30~80cmです。花穂は長く紫青色で美しい。新葉が非常に美しく、横にボリューム感が出ます。萼はグリーンバイオレットで、花はバイオレットです。葉に触れると甘い香りが漂います。ラベンダーオイル(精油)の成分が多いので、香水など、香りの原料として使われている種類(品種)です。関東以南の暖地向きです。フランス人Moniseur Grosso氏によって作出されました。
日当たりと水はけの良い場所を選びましょう。暖地向きに品種改良された、といっても、もともと高温多湿に弱い性質ですので、日本の梅雨を避け、夏は風通しの良い場所を探しましょう。