フラグラントガーデン “香る庭” no.4

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9、芳香性の植物(8)

ダイアンサス(ナデシコ)

ダイアンサスとは、ナデシコ科ナデシコ属の植物の総称です。ナデシコ属のことを学名で「Dianthus」といいます。カーネーションもナデシコ属に分類され世界に約300種が分布しています。ナデシコ、カーネーション、セキチクが含まれます。園芸界では、カーネーションだけ別物として扱われているようです。やさしい草姿に可憐な花を咲かせ、香りも魅力です。花壇やコンテナ、鉢植えだけでなく、切り花に利用され、幅広い用途があります。ダイアンサスは種類が多く、一季咲き、四季咲きの種類がありますが、園芸品種には、四季咲き性のものが多く、常緑性で耐寒性も強いので、品種や場所によってはほぼ周年にわたって観賞できるほどです。日本には、カワラナデシコ(ヤマトナデシコ)、ハマナデシコ、ヒメハマナデシコなどがあります。
‘カワラナデシコ’(大和撫子)は、日本原産の「秋の七草」のひとつ。北海道に自生するエゾカワラナデシコの変種として扱われる。丈夫で40cmにも成長する耐寒性常緑多年草です。5~8月、次々と優しいピンクの花を咲き続け花期も長い。花径は3cmほどだが、野趣があり捨てがたい魅力。側を通ると思わず立ち止まるほど魅力的な甘い芳香を放つ。
‘ダイアンサス・ミセスシンキンス’は、高さ30cmになる。八重の白・またはピンク色の花弁に斑が入っている。ダイアンサスの中でも強い香りがある。
‘ダイアンサス・テルスター’は、高さは15~20センチの矮性で、常緑多年草で四季咲き性があります。赤色からローズピンクそれにピンク色や白色、覆輪など花色も豊富です。花期も長く、5月から8月ごろまで咲き続けます。
‘ダイアンサス・カーペット’は、草丈: 5~10cmの矮性四季咲き品種。花首がほとんど無いのが最大の特徴で、芝生の上にライトピンクの花を散りばめたように通年にわたり開花します。冷涼期には甘い香りがあります。耐寒・耐暑・耐雨・耐病性を兼ね備えた強健な品種です。矮性種で立ち上がることはありません。グランドカバーに向く、これまでに無いタイプの品種です。
‘クローブピンク’は、カーネーションの原種の1つ。夜になると花の芳香が強くなるとわれ、クローブ(丁子)に似た香りがある。とても強いハーブで、耐寒性もあり、管理に手間はいりません。地植えでも鉢植えでも育てることができ、薬効利用や、食べるハーブと言うよりは、香りや、観賞を楽しむ植物です。
ダイアンサスは、概して高温多湿を嫌います。梅雨に入ったら、下葉がたくさんあることを確認してから、土から15cmぐらいのところでカットします。カット後、新芽を吹いた状態で真夏を乗り切れば、秋に綺麗で可憐な花を見せてくれます。 ダイアンサスの花は、食べられます。お料理やスイーツの飾りに使ってもお洒落。

ストック

12月~3月の南房総ではストックの花をたくさん見かける。甘い香りを振りまいている。
寒さに比較的強いアブラナ科の多年草ですが、日本では秋蒔き一年草として扱う。暑さに弱く、日本の夏は耐えられないようだ。ストックは花茎に厚みのある花弁をたくさんつけます。開花期は早春~春で、甘くよい香りを持っている。八重咲き種は芳香も強く、夜も香り続けます。ピグミー系の寒さに強く早く花が咲く矮性種が出回っており、8月中旬頃と早く種まきすれば11月中頃から12月頃の開花、10月頃に種をまくと来年の春の開花になります。八重咲きと一重咲きの両方が混じって咲き、葉にも違いがあります。
変種の‘ナイトセンティッドストック(イブニングストック)’は、夜になると香りを放つため、この名がある。さらに開花の早いキスミー系の種類もあります。花持ちがとてもよく切り花にも利用できます。

スイートアリッサム

ストックと同じアブラナ科で、本来は毎年花を咲かせる多年草ですが、高温多湿に弱く夏に枯れてしまうことが多いので、秋まき一年草として扱う。細かい十字形の花を密に付け、カーペット状に広がる草花で、花は甘い芳香を放ちます。
花色は白、赤、紫、ピンクなどがあります。春に花を楽しんだ後、枯れずに夏を越すと秋にも花を咲かせます。
甘い香りがあってアリッサム属の植物に似ているので、英名sweet alyssum。中国では‘香雪球’と呼ぶそうです。

ニオイスミレ(スイートバイオレット)

紀元前320年ごろにはすでにギリシャなどで栽培され、アテネを象徴する花とされた。花は甘く優雅なかおりがするので、古代から香水に使われてきました。花は、紫、ピンク、白色で、一重や八重と種類も多く、晩秋から早春まで、可憐で素晴らしい香りを楽しませてくれる。満開となるのは、3月、4月。スミレ科スミレ属の耐寒常緑多年草で、半日陰の環境と腐葉土を含む湿った土を好む。
バラやラベンダーと並ぶ香水の原料として利用されてきました。主に花を利用します。コサージュ・切り花・香水の原料・花の砂糖漬け・フラワー酒・エディブルフラワー・サラダや料理のあしらいに利用できます。花の収穫は咲いた当日に行います。生葉をそのまま使う時は、できるだけ若い葉を摘みます。葉や花を使ってハーブティーにすれば、口内炎・呼吸器の疾患・風邪に効くと言われています。種子や根茎には毒性があります。

レモンバーム(西洋ハッカ、香水ハッカ、メリッサ)

ヨーロッパ・地中海東岸原産のシソ科の常緑多年草。草丈は60~80cm。葉にはレモンに似た爽やかな香りが強く、香水の原料としても使われる。葉は明るい緑色で、柔らかく、フレッシュな葉には、少し苦味があるが、ハーブティー、サラダ、西洋料理、洋菓子、飲料などの風味つけに。花は小さくて目立たないが白色で6~7月に咲き、ミツバチが好む香りとして有名で、2000年以上にわたって栽培されてきた蜜源植物です。
耐寒性のある植物なので、関東以西であれば、一年中緑の葉を付けている。植え場所は日向~半日陰で、保水性と風通しの良い場所が向いています。梅雨時の蒸れと、夏期の乾燥に弱いので、収穫を兼ねて枝をすかしたり、3分の1ほど切り戻すなどして風通しを良くしておきます。葉の収穫は随時、保存用なら花の咲く前が良い。
葉のハーブティーは、美味しいだけでなく、リラックス効果と記憶力アップの効果があるといわれ、長生きのお茶でもあるとされる。ドライリーフはポプリにして枕の下に。安眠効果が期待される。

レモングラス

イネ科の多年草で、ススキのような姿だが穂はつけない。柔らかく細長くて鮮やかなグリーンの葉と茎は強いレモンの香りがします。インド原産のハーブで耐寒性に弱く、高さは100~150cmになる。夏以降、葉を収穫し、生のままフレッシュなハーブティーに使う。秋には地上15cmぐらいを残してバッサリと収穫し、水洗い、乾燥させて保存する。
フレッシュリーフ、ドライリーフともに、ハーブティーやカレー、シチューの芳香スパイスとして使ったり、入浴剤としても良い。
日当たりと水はけが良い場所を好む。放任すると、大株となるので株分けをしましょう。

レモングラス

草丈が1mを超す大型の植物で、毎年花を咲かせるシソ科の宿根草です。細長くて丈夫な茎を株元からたくさん茂らせ、夏~秋にかけて青紫色の花をたくさん咲かせます。葉や茎には柔らかい白毛が生えていて、銀白色がかった緑色に見えます。葉や茎には爽やかな芳香があります。ハーブとして扱われるセージとは、科が同じだけで、縁はなく仲間でもありません。草姿や茎葉に芳香があるところなどから、セージを連想して名付けたのかもしれません。
日当たりと水はけのよい場所を好み、暑さ、寒さともに強いが、多湿が苦手でじめじめした土壌ではうまく育ちません。花が咲き終わった茎を先端から1/3~半分くらいに切り戻しても良いでしょう。夏頃に切り戻しておくと、秋に再び花を楽しむことができます。
冬は落葉して地上部は茎を残して休眠します。冬の間に地際から10cmほど残してばっさりと茎を切り落とします。

ミントブッシュ(プロスタンテラ)

シソ科の常緑小低木。葉からミントの香りのするオーストラリア原産。愛らしいベル形の花を無数に付ける。立性と這性種の2種類が主に出回っています。ブッシュの名のとおり、細かく枝分かれて葉も密につけます。赤~青紫の花も小さいながらも比較的よく咲きます。春が最盛期ですが、調子がよいと、ぽつぽつと初夏まで咲き続けます。ミントブッシュ(M.rotundifolia)は立性で細葉タイプです。クリーピングミントブッシュ(M.denticulata)は這い性タイプです。
日当たりと、水はけのよい場所で育てます。ジメジメは苦手です。やや暑さに弱いので夏は遮光したいですが、風通しのよい場所ならしなくても構わないでしょう。その場合でも過湿は避けます。基本的にはとても丈夫な花なので、条件さえ満たせば放任で育ちます。

アルテミシア・サザンウッド

南ヨーロッパに分布しています。キク科・ヨモギ属の落葉低木で、高さは100~120cmくらいです。ヨモギの葉を細くした様な灰緑色の葉をしています。茎と葉から甘酸っぱいレモンの香りがします。花は、9~10月頃、小さな黄色い花を咲かせます。ヨーロッパではかつて防虫に使われており、乾燥させた束をクローゼットに吊したり、匂い袋を作って衣類の間に入れて利用します。
水はけの良い場所を好みます。梅雨前は、蒸れ防止に刈り込みし、風通しをよくします。
放っておくと背丈ばかりが伸びますので、春と秋を目安に株の更新をします。余分な枝をカットし株の姿を整えます。防虫効果、殺菌効果に優れ、抜け毛予防と髪の毛の成長を促すといわれます。

クローバー(シロツメグサ、アカツメグサ)

野原や公園で、クローバーの絨毯に座り、四葉のクローバーを探したり、花を摘んでネックレスを編んだりと、女性の方なら思い出に残っていることでしょう。クローバーが咲くと、道を歩いていても、ほのかに甘く、暖かみのある香りが漂ってきます。小さな蝶のような花が球状に集まって咲き、とても良い香りがあります。とても重要な蜜原植物であり、ミツバチはせっせと蜜を集めます。クローバーの蜂蜜は癖がなく高級品とされ、クローバーの蜂蜜は世界で最も生産量が多い。 英語で、”クローバーの中に寝る”という言葉は、贅沢のし放題という意味があります。
なんとなく、解かるような気がしませんか? 和名の「ツメクサ」の由来は、江戸時代にオランダから輸入されたガラス器の梱包の詰め物として使われていたことから「詰草」と呼ばれるようになったそうです。山野草の中ではアクも少なく甘味があり、葉と花は、あえものや天ぷら、炒め物に調理できます。花を乾燥させてハーブティーにすると、強壮剤、痛風の体質改善薬、咳止めの効果や利尿効果があります。解熱・鎮痛効果もあると言われ、肌荒れや湿疹にも有効といわれますので、ローションにも適しています。虫に刺された時など、葉をすりつぶして直接塗れば消炎効果があります。
もともとは牧草として育てられていたクローバーは、繁殖力が旺盛で、しばしば駆除に困るほどです。室内で、鉢植えで育ててみては如何でしょう?

レンゲソウ

マメ科の一年草のレンゲは、田んぼの稲刈りが終ると、レンゲの種を撒き、4~5月に見事な花畑となっている光景は目に焼きついている。これは、マメ科植物の根には丸い粒がついていて、その中には根粒バクテリアがいます。根粒バクテリアは空中窒素を硝酸イオンに変え(空中窒素の固定)、これを植物に与え、植物は根粒バクテリアに水や栄養分を与えている。この関係を共生と呼ぶ。レンゲソウの種子を水田にまいて、レンゲソウを生やしているのは、レンゲソウを水田にすきこむためである(緑肥)。レンゲソウは良い窒素肥料になるのです。
通常、秋に種を撒き、寒い冬を越さなければ花は咲かない。4~5月の花期とともに伸び始め、草丈は30cm程になる。クローバーと違って踏みつけには弱い。
春の田んぼ一面に敷き詰められた、レンゲ畑の赤紫色の絨毯はかっては春の風物詩でした。最近は、化学肥料の普及で、レンゲ畑を見る機会が減ってきているのは、大変残念なことですが、近年の有機農業への関心が高まるにつれて、レンゲによる地力の増進。家畜の飼料としてのみならず、レンゲの美しい絨毯を観光資源として、良質な蜜源として活用し、「村おこし」をしようという地域も出てきています。また、雄大なレンゲ畑を見たいものです。
花壇の縁取りやプランター、芝生のアクセントなどにも利用できます。花の色はふつう紅紫色ですが、まれに白花種や受粉後に紅色に変化するバイカラー種もあります。春の若芽をおひたしに、花は天ぷらにするなど食用になります。

アルファルファ

マメ科の多年草です。夏には薄紫色のレンゲのような小さな花がたくさん咲きます。葉や発芽したての芽は、エンドウマメの香りがします。若葉はサラダに。種子は発芽させて、もやしを作ります。
アルファルファの語源はアラビア語で「最高のえさ」という意味だそうで、「牧草の王様」と言われています。ルーサンという別名もあります。原産地は中央アジアで、栄養価が高いので世界各地で牧草として利用されています。もやし状のスプラウトからは想像しにくいが、株元から多数の茎を叢生し草丈1mほどになる多年草です。地下5~10mとかなり深くまで根を張って養分を吸収します。キッチンでスプラウト栽培程度の方が無難ですね。

ナスタチュウム(キンレンカ)

赤やオレンジ色、黄色の花が、ハスの葉のような形の葉を持つ一年草で、真夏はちょっと休みますが、6~10月頃まで次々と咲きつづける。八重咲きのものもある。太陽に当たると甘い香りを漂わせますが、その香りの中には辛さも感じられます。高さは矮性種で30cmぐらい、つる性種は3mにもなる。花や葉は、爽やかな辛みがあり、フレッシュなまま、サラダやサンドイッチに利用したり、冷製スープに浮かべて使います。花柄をこまめに摘み取ると、長く花をたのしめます。日当たりと水はけが良ければ、土質は選ばずに良く育ちます。
夏野菜のお供として、植木鉢で育てても十分に収穫できますの、お試しあれ!

ドイツスズラン

4~5月、純白の小さな花が可憐なドイツスズランは、バラ、ジャスミンとならんで、三大フローラルノートと呼ばれるスズランの香りは、ややグリーンを帯びた透明感のある香りが特徴です。スズランの香りは、作業ミスを減らし疲れにくくする効果があることが最近の研究により分かっています。長時間パソコンに向かう仕事などでは、香りを嗅ぐことによって疲れを緩和させる作用が期待できます。オフィスのデスクで試してみてはいかがでしょうか。英国やフランスでは、5月1日がスズランの日だそうで、この日スズランの花束を贈るといいます。贈られた人には幸せが訪れると信じられているそうです。
ただし、スズランは全草が有毒で、特に花や根に多く含まれています。摂取した場合、嘔吐、頭痛、眩暈、心不全、血圧低下、心臓麻痺などの中毒症状を起こし、重症の場合は死に至ることもあるそうです。スズランを活けた水を飲んでも中毒を起こすことがあり、これらを誤飲して死亡した例もあるそうです。花粉が手に付いた状態でご飯を食べてもお腹を壊します。食事前には手を洗いましょう。特に小さな子どもさんのいるご家庭では注意してください。そういうスズランを花束にするのはどうも怖いような気もしますが。知っていれば安心です。覚えておきましょう。
午前中は日が当たり、午後は半日陰の場所。風通し、水はけのよい環境を好みます。

10、芳香性の植物(9)

オシロイバナ(夕化粧)

夏の夕方、4時ごろになると、赤、白、黄色の花が咲き始めると、住宅地に甘い香りが広がる。花で色水を作ったり、黒く熟した実を潰して中の白い粉を顔に塗ったりと、子どもの頃の記憶にもあるオシロイバナ。メキシコ原産の一年草で、英名は‘For o’clock‘。その名のとおり、不思議と夕方4時ごろになると開花する。本当の花時計をご存知でしょうか?リンネの花時計と言いますが、本物の花時計には時刻を示す針はありません。それぞれの植物が開花する時刻を、植え分けて、今はこの花が咲いているから**時と解かるようになっているものです。例えば、朝6時開花のセイヨウタンポポ、午前11時開花のマツバギクの一種、などといった具合です。これは、植物が花粉を運んでもらう動物の活動する時間帯に合わせて花を開くためで、花を開く時間帯はごく少数の主要な遺伝子で制御されていることが近年になって明らかになっています。オシロイバナは夕方頃に活動する昆虫に対しては、花の多彩な色で引きつけ、夜に活動する昆虫には、その香りで引きつける。そのためのタイマーのような遺伝子を持っているということだ。植物と言えども、やるねえ!
寒さに当たると枯れてしまうことが多く、春にタネをまいて花後に枯れる「春まき一年草」として扱うことが多いが、日本でも暖地など霜の心配のない場所では地上部は枯れるものの、根が冬を越し毎年花を咲かせます。
試しに種を撒いてみませんか?

エンジェルトランペット(ブルクマンシア)

5月〜11月、トランペットのような花を下向きに咲かせる。夜になると甘い香りを漂わせ、次々に長期間開花する。花色は、白、ピンク、オレンジ、黄色など。熱帯アメリカ原産のナス科の低木で、3mぐらいまで成長する。熱帯植物だが寒さには比較的強く、関東地方のほとんどの地域では冬は地上部が枯れても、春には地下部から芽が出てまた開花します。全草に強力な毒があり、‘気狂いナスビ’の異名を持つほどだ。種子をあぶってお茶にして飲むと幻覚が見られるほど。マリファナが違法なのでダチュラを吸う、くらいのものです。種子をゴマと間違えて口にした子どもが昏睡するという事件も。花も葉も何も絶対に口にしないでください。世界初の麻酔にも利用されました。江戸の末期、一介の町医で、家族を犠牲にして様々の苦難の末、世界で始めて麻酔薬の調合に成功し、麻酔手術を成し遂げた外科医とその家族の話「華岡青洲の妻」に出てきます。

ニコアチア(ハナタバコ)

たばこの葉もこの仲間です。日本では以前「専売法」があり、ニコチアナの仲間はすべて栽培できませんでしたが、1985年に改正されたのち、花を観賞とする種類が一般でも栽培できるようになりました。解禁されたのが比較的近年と言うこともあり、海外ほど多くの種類が普及していないように感じます。
高さ1~1.8mに育ち、茎は直立して、葉とともに全体に粘り気のある腺毛が密生します。葉は大きく楕円形で、6~10月に咲く花は白く、筒状で先端が開いて星形の花が枝の先に多数つきます。
本来、冬を越して毎年花を咲かせる性質のものが多いですが、寒さに弱く日本では春にタネをまいて夏に花を楽しむ「春まき一年草」として扱います。開花期は主に6月~11月頃ですが、暖地では枯れずに冬まで咲き続けることもあります。花色は白、ピンク、紅色、黄緑色などがあります。園芸種の‘ティンカーベル’はやや背丈が高く(50~80cm程度)なり、垂れた感じの落ち着いた印象の赤花を咲かせます。花期が長く秋遅くまで咲き続けます。
夕方から夜にかけて、甘い香りを漂わせます。月光の庭にふさわしい植物です。白い花は月の光に浮き上がり、夕暮れからたちのぼる香りは、ジャスミンのような甘さです。庭椅子のまわり、歩道の脇などに植えると効果的です。

ヤコウボク(夜香木・ナイトジャスミン)

その名のとおり、夜に花を開いて良い香りを漂わせるのが夜香木。花自体は小さく、他の花を楽しむ植物に比べると物足りないかもしれませんが、その香りはかなりの存在感。強香で、香水に使われることもあります。昼は清楚な女学生、夜は妖しいまでに濃艶なマダムの如く、香りが一変する。ナス科の非耐寒性小低木。西インド諸島が原産の植物なので、高温多湿な気候を好みます。湿度の高い日本の夏でも元気に育ちますが、やはり冬の冷気には弱いです。
5℃を下回ると葉を落としてしまいますが、枯れていなければ翌年にはまた芽を出して花を咲かせてくれます。氷点下になったり、霜に当ててしまうと枯死してしまうので、冬の間は室内に取り込みます。暖かい地域なら路地植えも可能ですが、鉢植えで育てることのほうが無難ですね。花が咲いたら少し切って水に挿しておけば、部屋でもアロマのように香りを楽しむことができます。

ナイトブルーミングジャスミン

別名: 夜ソケイ、インド夜香木の名を持つクマツヅラ科・ニクタンセス属の常緑小低木。
2mほどになる東南アジア、インド原産の可愛らしく、ほのかな香りを漂わす花木です。
花は、ジャスミンそっくりで、夜に咲いて翌朝には散ってしまう。

夜来香(イエライシャン)

別名: テロマス。(Telosma cordata Telosma)ガガイモ科テロスマ属のつる性植物で、温室で育てます。
咲き始めは淡いイエローグリーンですが、開花につれてオレンジに。香りはオリエンタルな甘さと甘スパイシーさがあります。小さなラッパ状の花が10個ほど固まって下がるように咲き、葉は丸みを帯びたハート様の形。夜から明け方にかけて花が甘い香りを発することから「夜来香」の和名があります。香りは昼もありますが、真夜中から早朝にかけての香りが最高といわれています。時間によって変化し、夜9時すぎには沈香のような幽玄な香りを発します。東南アジアや中国では、花と若葉をスープなどに入れて食べます。花はベトナムでは鶏の胸肉と玉ねぎのあっさりしたスープに、タイではオムレツに入れたり、炒めてからサラダに混ぜてたべているようです。つるが旺盛に延びるので早めに誘引するか、適当な場所で切り戻してください。冬は水を控えて5℃以上で管理が必要です。

月下香(チューベローズ)

リュウゼツラン科の植物で、香りがよく、複雑でエキゾチックな甘いフローラル系で、とくに夜間は香りが強い。抽出物を香水のトップノートに用いるために、ハワイや熱帯アジアなどで栽培される。球根の状態で休眠していても枯らさないためには10℃くらいの気温がほしい。

ヘリオトロープ(香水草、キダチルリソウ)

バニラ系の香料植物。夏目漱石の「三四郎」に登場する香水がこれだ。現在は合成香料が多い。夜に強烈な芳香を放つ。香水の原料として、ジャスミン、ライラック、ラベンダーなどとともに主要な位置が与えられている。ヘリオトロープとは、ギリシャ語で”太陽を向く”という意味。開花時(5月から7月)はスミレ色から紫色で、終花時が近づくと白色に変わります。ムラサキ科の植物で、原産地(南アメリカ)では常緑の低木風の多年草ですが、日本では一年草として栽培されている。
ヘリオトロープの園芸品種で芳香が強いもの・・・ロワ・デ・ノワール、マダム・ブルアン。etc。

スイートウッドラフ(クルマバソウ、ウッドラフ)Galium odoratum

アジア、シベリア、ヨーロッパ、北アフリカに広く分布するアカネ科ヤエムグラ属の耐寒性多年草で、草丈約30cmで、木陰のような半日陰でよく育ちます。夏の高温多湿が苦手な植物ですので、なるべく涼しくしてあげましょう。暖地の地方の植え場所は明るい日陰で、風が通るところがベストです。適温は10~20℃ですが、耐寒性が強く、-10℃位まで耐えます。属名のGaliumはギリシャ語のミルクつまりgalaから由来の言葉です。このヤエムグラ属は世界のいたる所におよそ400種分布しますが、チーズ作りの時にミルクを固める作用をするものが数種あり、そこからの命名です。種小名のodoratumは香りの良いとか芳香のあるという意味で、この学名から香りのあることがわかります。開花は6月頃、星のような白い花をつけてとても可愛らしいです。全草にクマリンを含んでいて、開花直前に刈り取って乾燥させたものは桜餅のような甘い香りがします。ヨーロッパでハーブとして、ビールなどの賦香料として、ポプリやサシェ、ワインの香り付けとして使われます。防虫の他、民間でめまい・貧血・嘔吐などに用います。また、生葉や花はサラダなどにされます。英名はWoodruffで、ひだがある襟を意味します。和名は車葉草(クルマバソウ)です。茎から葉が放射状に出ている様子を車に見立てたものです。葉は狭い皮針形または長楕円形で6~10枚が輪生します。植物図鑑によると、Galium(ヤエムグラ属)は、Asperula(アスペルラ属)から移行したので、異名はAsperula odorata L.となっている。

カモミール
キク科のカモミールは、マーガレットを小さくしたような花が魅力的なハーブです。古くからたくさんの人たちに愛され、日常の暮らしのなかで、お茶から入浴剤にも利用されています。気が安らぐ効果があるので、ハーブティーでは寝つきがよくなる効果があります。ポプリにしてもなかなかよい効果がある丈夫で美しい草です。ギリシャ語で「リンゴの大地」と言うそうで、花にリンゴのような香りがあります。
日当たりと水はけの良い場所を好みますが、高温多湿に弱く、風通しが悪いと蒸れて葉が枯れ上がってしまうので、混み合っている茎は間引きます。

ジャーマンカモミールMatricara recutia

キク科マトリカリア属の一年草。マトリカリアはラテン語で‘子宮’を意味し、婦人病の治療薬として使われてきました。白い花の中央の黄色い部分に青リンゴの香りがある。
高さ15~50cmに育ち、中央が黄色で花弁が白いデージーのような花を3~5月に咲かせる。植物のお医者様とも言われ、まわりの植物を元気づけ、病気から守ります。刻んですき込めば、優良な肥料となります。花は、パンやクッキーに焼き込んだり、ゼリーやババロアの香りづけとして。ハーブティーは、鎮静とリラックスのお茶です。生ではコップに花柄5個ぐらい、乾燥では小さじ一杯ぐらい、お湯に3、4分蒸らしてそのまま飲んでよいし、シロップや蜂蜜を入れると飲みやすくなります。精油は、青色で、甘いリンゴのような香りがする。
毎日の暮らしの中で、人や動植物を癒してくれる、優しいお母さんのような草です。

ローマンカモミールChamaemelum nobile

高さ20~50cmに育つキク科アンテミス属の多年草で、ジャーマンカモミールよりも花も少し大きく、香りもより強い。花期は6~8月。葉にも強いリンゴの香りがある。ジャーマン種に比べて花つきに劣るが、葉の美しさや丈夫さではより優れている。マーガレットに似た小さな白い花が咲き、すばらしい香りの花壇になります。ジャーマン種が花を楽しむのに使われているのに対し、ローマン種は葉を楽しむのに使われています。芝生のように刈り込んで絨毯のようにすることもあります(踏みつけるといい香りがする)。ただ、暖地では夏に弱りやすく夏越しさせるのに気を使うためあまりそういった使い方は見かけません。梅雨前に、花は諦めて株元でばっさりと刈り込んで風通しをよくします。もともと花は咲きませんが、細かい葉が密生して育つ芝生用の品種、‘ローンカモミール(ノンフラワーカモミール)があります。ギリシャ人がカモミールを「カマイ・メロン」(地面のリンゴ)と呼んだのも、そのためでした。このカマイ・メロンからカモミールの英語名、カモマイルができたのです。1638年に書かれた、ウィリアム・ロースン著の造園書には、「テッサリアの神殿の森のごとく、広くてゆったりとした散歩道には、砂利と砂を敷き詰め、ベンチを設けて、カモミールを植えるとよい。心身ともに健康になるであろう」とあります。また、逆境にあるものを激励する言葉に、「カモミールの苗床のごとく、踏まれるたびに成長せよ」というものがあります。
精油は、甘くハーブ調で少し薬臭い。

サントリナ(コットン・ラベンダー)

キク科の常緑小低木で、南ヨーロッパ、北アフリカの乾燥地に分布する。高さは30~50cmで、よく枝分かれして密生する。5~7月頃、球形の鮮やかな黄色い花を咲かせます。目立つような花びらはありませんが、小さくて丸っこくて、かわいらしい花です。葉は細かく切れ込んで綿毛が密生し、銀緑色に見えて美しいです。葉っぱの形が綿毛のある鋸葉状で珊瑚のような形でフリンジラベンダーに似ています。全草に香りを持ちヨーロッパではハーブとして中世では薬用として用いられてきた。スパイシーというか何となく虫の寄って来ないような独特の香りです。葉は周年摘み取って利用する。花は夏の終わり頃摘み取ってドライフラワーに使うとよい。主な用途はクラフトで、薬草や料理など食用にはされません。
コットン・ラベンダーとも呼ばれますが、ラベンダーとは全く違う植物で、本種はキク科、ラベンダーはシソ科です。園芸種には、葉色がグリーンの‘グリーンサントリナSantolina virens’。矮性種の‘サントリナ・ナナ’。‘サントリナ・ウエスタSANTORINA WESTERN’は、草丈30~60cm。柔らかく、細長いシルバーの葉。春から夏にかけて黄色の花をつける。
etc。

フレンチマリーゴルド

一般的に育てられている種類は、独特な香りで、あまり好まれる香りではないようですが、メキシコ原産のキク科キンセンカ属の一年草、一部、種根草で、栽培が容易で花期が4~12月と長く、花色はオレンジ色から黄色が多いが、赤色、白色種もあり、花壇に良く植えられます。ネグサレセンチュウの駆除に効果があると言われています。ネグサレセンチュウに弱い植物を植える前にマリーゴールドを栽培し、株の間にすき込んで利用したり、あるいは、マリーゴールドと混植して使います。抗炎症作用、生肌作用に優れたハーブで、皮膚に対する働きはカモミールと同等、あるいはそれ以上かもしれません。吹き出物を抑え、腫れをひかせ、痛みをとる効果に優れ、飲用や湿布、塗付して用います。
草丈が15cm-40cmほどの小~中型種が多く花壇、鉢、コンテナ植えにも適しているフレンチ種の他、大型種が多く、草丈は50cm-2mになるアフリカン種があり、一般的にはフレンチ種が出回っています。宿根性の種類では、柑橘系の強い香りのあるT・レモニー(レモン・マリーゴールド)、甘い香りで切り花にも利用されるT・ルシダ(ミント・マリーゴールド)があり、秋の花壇をにぎわしてくれます。これらは-5℃ぐらいまでなら冬越しできます。日当たりが大好きな植物です。日照が不足すると茎が細く育ち、花数も少なくなります。土の表面が乾いたら、たっぷりと水遣りしましょう。よく根が張る植物です。特に高温期の夏は、乾きやすくなりますので、朝、たっぷり水を与えましょう。

ヘリクリサム(カレープラント)

高さ30~60cmぐらいに成長するキク科の多年草です。銀灰色の葉が美しく、葉の部分にはカレーやこしょうのような香りがあり、カレープラントとも呼ばれています。地中海地方でたくさん生えている黄色い花を、7~8月に咲かせる植物です。黄色い花から抽出した精油の香りは、葉の香りとは違い、ラズベリーに似た蜂蜜のような甘い香りがします。葉を収穫、乾燥させて、料理や香りづけ、ポプリなどに使います。乾燥させたものは、香りの持続性が強く1年近く香りを楽しむことができます。スープやドレッシングの香りづけに利用したり、臭みのあるラム肉や青魚を煮込む時に1節入れると臭みが消えます。ただし煮込み過ぎると苦みが出てくるので、香りがついたら取り出します。苦味が強いため食用には適しません。
日当たりと水はけの良い場所を好みますが、多湿には弱いので風通しの良い環境が良い。株が蒸れないように、込み合った枝を剪定します。開花後は収穫をかねて軽く切り戻します。半耐寒性で、あまり寒さに強くないので、できるだけ日当たりのよい暖かい場所で育て、とくに寒さが厳しいときは室内に取りこんでください。霜や凍結には注意です。地植えの場合は腐葉土やワラを敷いてカンタンな防寒を。東京では地上部が枯れても翌春に芽が出てきます。